サヨナラと秘密を用意して。


陸は“遊び慣れている”といった印象だった。
女の扱いもうまい。
このクラブに来る人来る人みんな知り合いで、
声をかけられていたが、

「僕、今真剣なんでほっといてください」

なんて笑いながらスルーしている。

いろんな話をした。
あたしは関西出身でと話せば彼は数年間京都で
料理人として有名なお店で働いていた事や、
今は実家の料亭を手伝いながら、そのうち
自分のお店を出すつもりだ、とか。

あたしが、この街は中途半端であまり好きじゃない、
と言えば、彼も同意見だ、と熱く語りだす。

陸とは感覚が似ているように思えた。

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