サヨナラと秘密を用意して。


春ちゃんの着ているスーツをハンガーに
かけながら、脱いだ物を洗濯カゴに入れていく。

ほうっておくと自分でやってくれないからだ。

うちには大きい子供がいる、と何度か
言った事があるが、笑っているだけで、改善の余地はない。

春ちゃんはいただきますも言わずに、ご飯を食べ始める。

お茶碗には米粒が残っているし、本当に子供だ。

あたしより5つも年上とは思えない食事の仕方。

最初の頃はちょっと言ってみたものの、これも
改善の余地はなので諦めた。

「いつか目が潰れちゃうよー」と笑いながらやり過ごす。

でも、「それならもうとっくに潰れてるよ」なんて
笑いながら返してくるようなヤツだから、諦めるしかない。

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