鎖恋-僕たちクズですー
真奈から手を握り返すなんてなんだ・・・

夜のバイトで培った技か?

僕は手をスッと外すと・・

真奈はまたしがみつくように僕の袖をつかんでいた。

「家族にはきちんと話す。だからもう少しだけここにおいて。」

「でも・・・僕たちのこと親は知ったらビックリだよ。僕なんて、何て言われるか・・」

「それは秘密にするから」

秘密の同棲か。

「あとどれくらい?」

「ゆうくんはどれくらいならいてもいい?」

「そうだな・・・」

複雑な心境だった。

ずっと一緒なんてありえないけど

でもなんか心配すぎて・・。

「真奈が去るまで僕はいつまででもいいよ」

「そか。ありがと」

そんな日が来るのか僕にはわからなかったけど

この秘密の同棲はまだまだ続きそうだった。

年の瀬が近づき

僕たちは実家に行く準備をしていた。

真奈は毎日緊張している様子だった。

真奈の母親は僕以上に心配症だから・・

僕まで緊張してしまう。

向いの家

真奈のうちを眺めながら

僕は静かな年越しを迎えた。

「どうか・・真奈がまた元気になって東京に出てきますように・・・」

このまま実家に帰って会えないって寂しさが

どこかにある。

僕は真奈より先に東京に戻った。

毎日真奈からはメールが来る。

夜のバイトのことも気になるらしい。

「でもね・・・ここにいたくないって理由。この土地にいたくないって理由。ゆうくんにはわかる?」

そんな意味深なメール。

真奈には深い心の傷があった。

「いつでもおいで」

ついつい・・・真奈には甘くなってしまう。

くされんとはこーゆうもんかな。

終わりなき・・関係。

だらりとしてしまう・・。

でももし君が苦しんでいたら・・

僕はきっと助けるよ。

僕のところに来てくれるなら・・・。

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