鎖恋-僕たちクズですー
英二は無言のまま車を走らせた。

海岸沿いの潮風はこんなにも心地よいのに私たちはまるで嵐の前の静けさ。

「しまった・・・」私はちょぴり後悔した。

なにも・・こんな時に言わなくても・・言ってしまった自分と後悔する自分とで

頭の中はグチャグチャになってゆく。

英二は車を停め、私への答えを探している様子だった。

「ごめん・・・。」最初に発した言葉。最初に謝られるとなんだかせつない。

「子供がいるんだ・・・。」二言目の言葉。

私はもはや敗北感に打ちのめされた。

「妻とは別居してる。でも、子供のために・・離婚はできない」

まだ3歳の息子がいるらしい。もちろん妻が子供を引き取っている。

「そうなんだ・・・。」離婚できないってことは私とも結婚できないってこと?

即座にそんな計算を女ってするもんね・・。

「はぁ・・・そっか・・・」「じゃぁ・・なんで付き合うなんて言ったの?」

「真奈のこと・・好きっていうか・・付き合いたかった。」

「子供かぁ・・」妻の存在より子供のことが気になった。

「お父さんなんでしょ?」やけくそ出た言葉だった。

「好きだったのに・・

結婚したかったのに・・」想いが溢れてきて自分でも抑えられない。

英二を問いただせば英二は謝る気づけば1時間は経っていた。

お互い好きなのに・・どうしても・・どうしても・・溝は埋まらない

「別れます」

私からだった。

妻子ある人とはやっぱ無理。だよね・・。

その事実を知った時から

答えは出ていたようなきがした。

「好きだったのに・・・」最後までその想いだけは残っていて

いつになったらこの感情から解放されるのか

私は正直自信がなかった。

「さよなら」

金沢の滞在も1泊で幕を閉じた。

それからかな・・・

私が男の人を信用できなくなったのは。

「所詮クズだわ」完全に男ってのがわからない。

そんな自分もみるもるクズっていった。


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