恋の神様はどこにいる?

母屋に入るのは、今日が二度目。

一度目はいきなり巫女をやることになって、その衣装をつけるためにお婆ちゃんのところへ行った時。でもその時は玄関を入ってすぐに左奥の部屋に連れて行かれたから、実際はところ部屋の配置は全然わかっていない。

志貴の背中を追いながら着いたのは、玄関を入って右の廊下を進んだ途中。神社内にある建物だから、もちろん純和風の家だけれど。そこだけ大正時代を思わせる洋風の大きな扉があって、その重厚感に思わず息を呑んだ。

なんで面接するのに母屋の応接室? 社務所にある会議室とかでやるのが普通じゃない?

今日はその部屋が使えなくて、母屋の方にしたのかしら。

どれだけ考えても、答えなんて出るはずもなくて。はあ~と大きなため息をつくと、扉に手を掛けた志貴が振り返った。

「いいか、心して入れよ」

え、何? それってどういう意味? 

心して入れって、そんな危険なことが待っているわけ?

突然言われた言葉に、足がすくんでしまう。

「し、志貴、私……」

「トイレなら後で。じゃあ開けるぞ」

「トイレじゃないし!! って、まだ心の準備が……」

できていないのに……。

無情にも扉は大きな音を立てて開いてしまい、私の緊張はピークに達してしまった。

足は小刻みに震えだし、唇はパサパサ。緊張しすぎて頭が真っ白で、歩き方まで忘れてしまったのかその場から一歩も動けないでいた。



< 127 / 254 >

この作品をシェア

pagetop