恋の神様はどこにいる?
「実は志貴って、案外子供みたいなところがあって可愛いんだよね」
普段良く見せる俺様で意地悪な態度とのギャップが女心をくすぐるというか、キュンときてしまう。
そんなことを言ってもまあ大半が、腹の立つことばかりだけど。そこは好きになってしまった弱みというか、それでも好きなものは好きだからしょうがない。
入浴剤で白くなったお湯を両手で掬うと、それを首筋に掛ける。さっと流れ落ちる湯は、疲れも一緒に落としてくれるようだ。
仕事初めと言っても、今日は手伝いをしたにすぎない。本当の勝負は来週から。
勢い良くバスタブの中に立ち上がると、人差し指を突き立てて右手を振り上げた。
「巫女としての実力も志貴も、両方手に入れるぞ!!」
なんて、大層なことを言ってみたけれど。
神様!! どうかどうか願いを叶えて下さい!!
やっぱりここは神頼み。明後日神社についたら、一番に社殿の前でお参りをしよう。
そう心に決めると、もう一度深くお湯に浸かった。