恋の神様はどこにいる?
神社の朝は早い。
志貴たち神職は六時を過ぎた頃から朝拝が始まり、神社の一日がスタートする。その後は参拝者の人たちが気持ちよく参拝できるよう清掃したり、祈祷の準備をしたり。地鎮祭やお祓いなど外に出向く日は、その準備も行わなければいけない。
一方巫女の出勤時間はと言うと。
神社によって違うようだけど、華咲神社の場合は八時に神社に入り巫女の装束に着替えると掃除を始める。
神社といえば“清掃に始まり、清掃で終わる”と言っても過言ではなく、毎日行われる大切な仕事。特に落葉の季節は大変で、神職と一緒に何時間も掛けて掃除をするなんてこともしばしばだとか。
それが終わると授与所の窓口を開け、お守りやおみくじを配置する。そして参拝者への対応が始まると言うわけだ。
基本授与所での仕事が多く、参拝者の対応の合間に祈祷用の御札を作ったり神職の手伝いをしたり。また大きな祭礼・神事の前は、その準備も進めておかなければいけないから、千里さんが言っていた通りなかなかハードな仕事だ。
本格的な仕事初めの今日。私は時間通り八時に社務所に到着すると、神職や巫女が事務仕事をする部屋に顔を出す。そこには千里さんを始め志貴や相川さんたちもいて、ドアが開いた音に全員が一斉にこちらへと振り返る。