恋の神様はどこにいる?
「な、なに?」
驚いて肩をすぼめると、志貴の顔の近さに視線をそらす。
「なあ、ちゃんと俺の目を見ろよ」
「いやいやいや。顔近いし、怒ってるし……」
「冗談じゃないんだけど」
志貴は私の顎を掴かみクイッと正面を向かせると、意地の悪い目を光らせて見つめた。
「俺のこと好きって言ったよな?」
「言った……かな?」
こんな時、冗談でしか返せない自分がもどかしい。好きだと言ってしまえばスッキリするのかもしれないけれど、相手が志貴となるとどうしても素直になれなくなってしまう。
「真面目に答えろよ。じゃないと……」
志貴はそう言うと、今でも10センチほどしか離れていない顔をゆっくり近づけ始めた。
このまま私が本当のことを言わなければ、どうなってしまうのか。
おのずと答えは出てしまい。
志貴の柔らかい唇が、私の唇に触れた。
今までの志貴からは考えられないほど優しく穏やかなキスだというのに、それは私の心と身体を麻痺させる。
時々漏れ出る甘い吐息が自分のものだと気づくと恥かしさも相まって、より身体が熱くなっていく。
自分の変わりゆくさまに、どう反応したらいいのかわからない。
激しさはないのに息つく暇も与えてくれないキスに息苦しさを感じ始めた私は、志貴の身体を小さく揺らした。