恋の神様はどこにいる?
「あの、ちょっと……」
「おまえは黙ってろ。何、和歌ちゃん。どうかした?」
お、怒られた。彼女がいる手前反論できなくて、シュンとしてしまう私。
「午後からくる予定だったバイトの子。体調崩して来れなくなったって。千里さんに言ったら、志貴さんに確認してって言われて」
「そっか、ありがとう。でも困ったなあ。和歌ちゃんひとりじゃ、授与所の窓口の対応は無理だよね?」
「はい、今日は特に……」
そう言って、何かを考え始めるふたり。
ふむふむ、これは仕事の話ですね。ということは私は部外者ですし、ここはおいとましたほうが良いんでない?
空いている方の手で、彼の上衣をツンツンと引っ張る。
「なんだよ?」
「そんな怒らなくても。あの、私帰ってもいい……」
「ああっ!! そうか、おまえがいたな。和歌ちゃん、こっちで何とかするから戻っていいよ」
いきなり大きな声出さないでよ!! 耳が近々するじゃない。
「あ、はい。じゃあ、よろしくお願いします」
巫女姿の彼女は野々宮志貴に頭を下げると、チラッと私を見てから持ち場に戻っていった。
「ねえ、私そろそろ帰りたいんですけど」
そろりと聞いてみる。
「はぁ!? おまえ、今の話聞いてなかったのか?」
「へ? 今の話って?」
私の反応に、野々宮志貴は天を仰ぎ呆れた顔をした。
なによ、その顔は!! 話は聞いてたけど、それが私に何の関係があるっていうの?