恋の神様はどこにいる?
「そんな寂しそうな顔すんな。今日はずっと離してやらないからな。またすぐ愛してやる」
「さ、寂しそうな顔なんてしてないし。そんないっぱい愛されても……」
「困るのか? だったら止めとくか?」
「それも困る!! じゃなくて……もう。そんな意地悪なこと言わないでよ」
「それは無理だな。好きなヤツのことは、いじめたくなるんだよ」
なんだ、その子どもじみた理由は!! おまえは小学生かっ!!
なんて、志貴に言えるわけもなく。ゴクンとそれを飲み込むと、志貴に寄り添った。
志貴は当たり前のことのように、私の身体を抱きしめてくれる。
「ねえ志貴? ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「ああ、構わないけど。何?」
ふぅと息を吐くと、ゆっくりと志貴を見上げた。
「初めて五鈴さんに会った時のこと覚えてる?」
「鳥居のところで会った時のことか?」
「そう。あの時の志貴、五鈴さんが来た途端握ってた手を離したり私から距離をとったり。どうしてそんなことしたの?」
ずっと心の奥に引っかかっていたこと。今となってはどうでもいいことなのかもしれないけれど、どうしてもスッキリさせたくて。
志貴からどんな答えが返ってくるのかじっと待っていると、志貴は照れくさそうに頭を掻く。
「それ、言わないといけないか?」
「ずっと気になってて。出来れば聞きたい」
志貴は仕方ないと言うようにため息をつくと、ボソッと呟いた。