愛情の鎖
コウさんが初めて本気で怒ってるように見えた。
真剣な視線が突き刺さる。
それは真っ直ぐで、怒りにも似た熱い眼差し。だから私はそれ以上うまく言葉を繋ぐことが出来なかった。
「梨央、今は何も信じられないかもしれないが、此処にいる限りは安全だ。お前の家族も俺の指示で今は安全な場所に避難させてある。
24時間体制で他の刑事に見張りをさせているから心配ない。暫くはあの男からの魔の手からは防げるはずだ」
「……ほん、とう?」
「ああ、だから今は何も余計なことは考えるな。少しリラックスして自分のやりたいことだけをやってればいい」
コウさんの指が私の目尻に触れて、優しく親指で涙を拭き取った。
その眼差しは力強く、ふっと目を細められた瞬間ようやくじんわりと肩の力が抜けていくような気がした。
「…わ、たし……」
「たくっ、今のお前には熱いカウンセリングが必要だな」
コウさんがそう口にして何故か意味深にニヤリと微笑む。
思わず瞬きをすると、
「ま、俺がたっぷり癒してやるよ」
額に甘い口付けが落ちてきた。