愛情の鎖

それから服を着替えて、リビングに戻ると何故かとってもいい匂いがした。

此処はコウさんのマンション。

何を隠そうこの部屋が彼の本当に住んでいる家だというもんだから驚いた。

じゃあ、今までコウさんが住んでたマンションは何?

そう訪ねれば、返ってきた言葉は「ああ、あれはただの仮の住まいだ。俺も色々と事情があるんだよ」と軽くはぐらされてしまった。

「それって仕事関係?」と、粘って聞いてみたけれど「それもそのうちちゃんと教えてやるよ」と、軽く頭をワシャワシャと撫でられるだけだった。


あ、怪しい…

怪しさMAXの発言に私はダイニングテーブルの椅子に座ると、カウンターキッチンに立つコウさんにジロリと不服な視線を向ける。


「分かった!もしかして女性関係?ひょっとしてあの部屋に不特定多数の女を連れ込んでたとか?」


あ、ありえる……

ただでさえルックス抜群のコウさん。周りのお姉さま達がほっておくわけがないよね?

特定の彼女を作らない代わりにあのマンションで取っ替え引き換えっていうのも改めて考えてみると納得して頷けるし…

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