愛情の鎖
だからあんなに生活感がなかったんだ。
「やっぱりコウさんってスケ……」
「アホか」
思わず批難する視線を向けようとしたらあっけなく一喝されてしまった。
カウンター越しでコウさんの心底呆れた眼差しが深いため息と共に落とされる。
「お前の頭の脳みそはお飾りか。一体どんな形してんだよ?」
「えっ?」
「その思考回路はポンコツか。ちったぁもっとまともな妄想ぐらいできないのかよ」
「なっ……」
なにもそこまでいわなくても…
だってしょうがないじゃない。
そう思っちゃったんだもん。
ポンコツかって、失礼な…
「まぁ、でもあながち間違いとも言えねぇけどな」
「えっ……」
「ある意味あそこには特定の女に会うために行ってた。夜な夜な来る歌い姫の寂しそうな泣き声を聞きに行ってたっつってもそれは間違いじゃねーよ」