愛情の鎖

「きっと本性は驚くほどしたたかなんじゃねーの?」

「…そうっすかね?こんなに純粋そうに見えるのに…」


首を傾げる西田に、俺はそっけない相槌でその場を淡々と終わらせた。

所詮この世は金と欲でまみれた世界。

見た目がどんなによくて、いい人そうに見えても腹の中じゃ何を考えてるのかわからねぇ。

裏で人を殺してるかもしれねぇし、悪いことを平気でやってのけるのがこの世の中の現実だ。

まぁ、所詮俺もそんな世界に足を踏み入れつづけている住人。何もかもを否定的に捉えてしまう限り、相当厄介な性格だとは思うけど…


「とりあえずお前は常に澤田宗一郎の行動をマークしてろ。何かあったら順次報告」

「分かりました」

「俺はそれとなく澤田梨央に接触してみるわ。ひょっとしたら何か重要な鍵を握ってるかもしれねぇし」

「了解っす。あ、でも、先輩。実際に会って気が変わったなんて言って彼女に手を出しちゃダメですよ。職権濫用はNGっす」

「アホか、当たり前だ。俺はガキには興味はねぇ」


誰がそんなことするかよ。アホらしぃ…

そんな暇があったらさっさと澤田宗一郎を追い詰めて、今すぐにでも息の根を止めてやるっつーの。

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