愛情の鎖
「あんな生活に戻るぐらいならいっそ死んだ方がマシよ」
「俺は…けっこう楽しかったですけどね。姐さんがいてくれた生活は…」
突然翔太が思い出すように呟いた。
「俺は…、姐さんが好きでしたから。極道の妻のくせして無駄に優しくて、お人好しで。俺が怪我する度に叱ってくれる人なんて初めてでしたから…」
「…えっ……」
「例えそれが慕ってる兄貴の奥さんだったとしても、俺は姐さんの側でお役になれたことが正直嬉しかったんすよ」
翔太の声が次第に切なさを増していく。
思いのほか真剣な目差しだった。
本気で言ってるの?
そんな彼の本音に私は少し戸惑い、次の言葉を失った。
翔太の意外な告白にどう返したらいいのか分からない。だけど彼はそんな私をさらに追い詰めようとする。
「お願いです。帰りましょう」
「……」
翔太がゆっくりと近付いてくる。
「俺は姐さんに戻って来てほしい。側にいてほしいんです」
「また俺のこと叱って下さい」そう言った翔太に思わず「…やめてよ……」と後ずさる。