愛情の鎖
どうしよう、トイレの出口は翔太側だ。このまま押し退けないと出ようにも出られない。
しかもこんな時に限って他に使用者はいない。
せめてすぐにでも誰かが来てくれたら…
翔太の告白を聞きながら、私の頭の中はコウさんを思い浮かべた。
もう煙草は吸い終えた?
今頃私が出てくるのをトイレの入り口付近で待っていてくれるのだろうか?
だとしたら、ここで今私が大声を出せばコウさんは気付いてくれる?一か八か今の私に残された手段はそれしか残っていないのかもしれない。
「姐さん、頼むから一緒に帰りましょう」
翔太の手が私の右腕をガシッと掴んだ。
「悪いけど逃がさない。このまま無理矢理にも連れて帰りますよ」
「…やっ……!」
ビクッと鳥肌が立つ。
咄嗟に振りほどこうとすると、持っていた鞄の中で突然携帯が鳴った。
私も翔太もその瞬間ハッときが止まる。
だけど翔太の手はしっかりと握られたまま、
どうしよう、きっとコウさんだ。
私がなかなか出てこないのを心配してるのかもしれない。
そう思いながらも手を捕まれてるせいで、携帯を取ることさえままならない。