神聖魔法団【下】



すると、声が聞こえた。




これは涯の声だ。




息が荒く苦しそうな声が聞こえる。




それだけで胸が痛くなる。




でも、聞かなきゃ。



逃げずに戦ってるんだ、聞くんだ皆の声を。




耳を澄ます。




「え・・・」




思わず口を手で覆う。




「っ・・はぁはっ・・・ッ・・」




涙がとめどなく溢れてきた。




止まらない。




涯の声を聞くたびに涙が零れる。




【俺たちはまだ負けてない。弱くなんかない。
歯ぁ食いしばって戦ってんだよ!!
恐怖も不安も全部全部押し殺して仲間のために戦ってんだよ!!

大事な人助けるために命かけてんだよ!!!】



手が震える。




【大事な人だから、生きてほしいから生きててほしいから!
自分の命を犠牲にしても助かってほしいから!

体ボロボロになってでも戦ってんだよ!!
自分奮い立たせて立ち上がってんだよ!

ここで負けるわけにはいかない。
俺はここで倒れるわけにはいかないんだよ!!!】



涯の言葉が胸に響く。



痛いほどの想いが伝わってくる。



涯・・・。



ぎゅっと目を閉じたとき、



涯の言葉によってさらに涙が溢れた。






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