妄想世界に屁理屈を。
ゴゴゴ、と漫画みたいな擬音が響いた。
地鳴りだろうか?気味が悪い。
ガサッと落ち葉が舞い、何かが姿を表す。
「あれれ」
「変なの来たぁあああああっ」
見た目は黒い染みであった。
よく心霊特番とかで出るような、人形らしきものをした、黒い染み。
周りが透けて見えて、実態はないものと思われる。
大きさは2mくらいで俺らよりもかなり大きい。
きゃぁきゃぁ言いながら鳥やらなんやらが逃げて――きゃぁきゃぁ?
な、なんで俺鳥の言葉がわかるの?
「悪霊か――あんたのお望みの幽霊だよ」
「望んでないぃいっ」
どうすんのこれっ!
「アカネぇえっ!やっつけ「無理」…は?」
今なんて言ったこいつ?
む、無理って。
「私、貿易担当なんだよなー、だから戦う系は無理」
「ま、まじかよ!」
「困ったなあ」
お構いなしに近づいてくる黒いやつ。
ためしに石を投げてみた。
――ヒュンッ
黒い塵が舞ったに過ぎず、通りすぎてしまった。
…まあ、大体予想はしてたけどね。