妄想世界に屁理屈を。


「ど、どしよどしよ…あ、アカネ!さっきの携帯召喚機で「無理。霊力使うから」

却下された。

じゃあどうしようもないじゃんっ

「取り合えず――ひょいっと」


と、アカネが俺に抱きついてきた。


神様なのに暖かい気がして、なんだか少しホッとする。


…ん?


「あ、アカネ!ちょっ!なんで抱きついて!?」


アカネには旦那がいるし、浮気になるよねこれ!?


「うるさい」


怖いのかもしれない。

ふと思った。

アカネだって女の子だ(たぶん)、殺されるかもしれない今の状況が、とてつもなく――




“んなわけあるか、馴れてるわ”



そんな声が脳裏に響いた。



「…へ?」



“入らせていただきましたっー”



「えぇえええ!?」



アカネがさっき抱きついて来たのは、まさか入りやすくするためとかそんな感じ!?


“あ、ねぇねぇ、指笛って出来る?”

「指笛…ピーってやつ?」

“そー”

小さい頃、ナウシカに憧れて練習した経験があるから、できないことはない。


指を丸くして形を作り、口に入れ――



ピー―――!



指笛を鳴らした。


かなり大きな音で、きっと山に響いたろう。


“うし、これでたぶんだいじょーぶ”


「こ、こんなんで?」


“言ったろ?私は偉い神様―家来だっているんだよ”

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