妄想世界に屁理屈を。
「鸞ー、自己紹介はきちんとしましょうね」
「はぁい」
お父さんの前ではイイコなんだな、こいつら。
す、と俺に向かい合って、でも高飛車な態度で。
「わらわは鳳凰の芯を担当する者じゃ。名を、鸞という。れっきとしたリーダーじゃ」
芯…
レタスの芯しか浮かんでこなかったんだけど。
しかし、リーダーか。
アカネより立場は上な訳だな。
「俺は柚邑。今は女の子だからゆーちゃんだけど」
「あー…訳は英雛から聞いておるぞ。アカネが迷惑してるそうじゃな。堪忍しておくれ」
頭を下げてきた。
…いい人じゃん。普通に。
「そのアカネが大変なんだ驪さん!」
「…らしいですね。出てきません」
何やら考えながら、俺を真っ直ぐに見据える。
否、見据えたのはアカネか。
「いるにはいるんだけど…黒庵さんがその…」
言いづらい出来事に口をつぐんだ。
だって、黒庵さんは彼の息子だ。
できれば息子のあんな姿見せたくない。
と、思っていたら。
「驪さまぁ〜…こ、黒庵さまが…ひっぐ」
スズが泣きながら驪さんに抱きついた。
このKY…子供ならなんでも許されると思うなよ。