妄想世界に屁理屈を。

「鸞ー、自己紹介はきちんとしましょうね」

「はぁい」


お父さんの前ではイイコなんだな、こいつら。


す、と俺に向かい合って、でも高飛車な態度で。


「わらわは鳳凰の芯を担当する者じゃ。名を、鸞という。れっきとしたリーダーじゃ」


芯…

レタスの芯しか浮かんでこなかったんだけど。

しかし、リーダーか。

アカネより立場は上な訳だな。


「俺は柚邑。今は女の子だからゆーちゃんだけど」


「あー…訳は英雛から聞いておるぞ。アカネが迷惑してるそうじゃな。堪忍しておくれ」

頭を下げてきた。

…いい人じゃん。普通に。


「そのアカネが大変なんだ驪さん!」

「…らしいですね。出てきません」


何やら考えながら、俺を真っ直ぐに見据える。

否、見据えたのはアカネか。


「いるにはいるんだけど…黒庵さんがその…」

言いづらい出来事に口をつぐんだ。

だって、黒庵さんは彼の息子だ。

できれば息子のあんな姿見せたくない。


と、思っていたら。


「驪さまぁ〜…こ、黒庵さまが…ひっぐ」


スズが泣きながら驪さんに抱きついた。

このKY…子供ならなんでも許されると思うなよ。
< 193 / 631 >

この作品をシェア

pagetop