妄想世界に屁理屈を。


驪さんの部屋に行く。


昨日の通り、驪さんがたくさんの本の中にいた。



その横に、なんかいる。




「あ、おねーさんだ!」




キラキラの金髪を輝かせる男の子。


「あ…え、苑雛くん?」


そう。あの苑雛くんだ。

勝手にこの体にした、可愛い鳳凰の一員。


…と。




「なんじゃぁお主は」




昔じみた、どこか妖艶な口調。


キャリアウーマンのような、キレッキレのミニスカスーツ。


美しい紺の髪に、同色の紺の瞳。



「ら、鸞(ラン)さま…」



呆然とスズが呟く。

久しぶりに声を聞いた気がした。


「スズ…や、朱雀。久しいの」


「ゆーちゃん…この方が、苑雛さまの奥様――鸞さまだよ」



前世とかナントカいってた、あのよくわからないやつ…?


「あ…ああ!あの、アカネが苦手な人か!」


「煩いぞお主、わらわもあやつは嫌いじゃぁああっ!」


叫びだした。

大人しそうな見た目とのギャップがすさまじい。


「我が主ー、静かにして下さいな」

苑雛くんが、指を唇にあてて「しー」のポーズ。


「う…苑雛かわいいのぉ…そのポーズもありえないくらい愛らしい…」


すすすと近寄り、可愛い可愛いと頬擦り。

…え、なんなのこの人。
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