妄想世界に屁理屈を。
「ふ、不安…」
「俺が不安だよ、スズ」
真っ青になり始めたスズに同感。
そう。
俺はなぜか鸞さんにご飯をごちそうになるのだ。
体を器という生き物から人間に戻らせるために、まずは形だけでも人間だという事を『体に思い出させる』ことになった。
そのためには夕飯を食べる必要がある。
だが、悲しいかな、俺はただいまニョタ化中。
自分の家で食事はできない。
『なら、わらわが作ろうっ』
そうドヤ顔で言い張った鸞さんについてきたのが間違いだった。
「なにを心配しておるのじゃ?わらわは今表向きとはいえ、苑雛の母ぞ?
すなわち、遠足のお弁当とかをよく作るのじゃ」
“冷蔵庫空っぽな人間が何を言う!”
人間じゃない、鳳凰です、アカネ。
「うむぅ…苑雛にはいつも好評じゃ!
夕飯を作るのは初めてじゃが、大丈夫じゃろ。
弁当も夕飯も、箱に詰まってるか皿かなだけで大差ないわ」
ごもっともな事を言い、いつものOL風の服で財布だけを持って玄関へ向かい始めた。
「鸞さん?」
「材料の調達に言ってくるぞ」
「言ってらっしゃいませー」
苑雛くんが嬉しそうに手を振った。