妄想世界に屁理屈を。


“まあでも、可愛いからいいじゃん”


「かわいけりゃいいって…神様って楽観的すぎない?」


夜だけなら、まだ誤魔化しもきくか。


ちょっとほっとしてると、トントンとノックの音。




「兄さん、ご飯。キモい」




呼応、用事、感想を述べた蜜柑。

「あー、いま行…」

返事に答えようとして気がついた。

ダメじゃん!俺今ダメじゃん!

ご飯に行きたいのは山々だけど、女の姿で行ったらさすがに変だ。誰?ってなる。

あたふたと急に焦りだした俺に、小さくスズが耳打ち。


「…今風邪ひいてるって言え、人間」


「…なるほど」

それならご飯も出なくていいか。


「蜜柑、いま」


女声だったぁあああああっ!

ダメだよスズ!怪しまれるよ!
どうし…どうしよう!

スズを振り返ると、見事にいなかった。



「逃げ、た…?」



苑雛もいない。

アカネは…無視してんなこりゃ。


皆勝手に女にしておいて酷すぎだろ。


もう、なんだか泣きたくなってきた。
一人ぼっちで、勝手に体も変えられて。
器とか鳳凰とか、本当は関わりたくない。
勝手だ、本当に。


「…うぅ…ひどいよぉ…」


……。

可愛い声だと説得力にかけた。
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