ロスト・クロニクル~後編~

 しかし、なかなかアルフレッドのような生き方をするのは難しい。まず、フレイの息子ということで期待され、将来を嘱望(しょくぼう)される。また、いい噂と悪い噂の両方をされ、パーティーに参加すれば鋭い視線が突き付けられる。自由気儘な生活は夢物語で、望んだとことで齎されることはない。

 だからこそアルフレッドを含めラルフに対し毒を吐き、冷たい仕打ちをしてしまうのだろう。自分が得られないモノを得ているから悔しく、嫉妬心に狩られる。結果、あのような行動を取り彼等をからかう。自分の行動に納得したエイルは間延びした声音を出すと、そのまま硬直する。

 不可思議な声音を出したエイルを心配しているのか、シードとリデル、それにアルフレッドが視線を向けてくる。三人に凝視されていることにエイルは気恥ずかしさを覚えたのだろう、反射的に視線を逸らすと、三人に「なんでもないです」と言い、誤魔化すのだった。

「俺が、相談に乗るぞ」

「いいよ」

「遠慮するな」

「また、今度」

 しかしこのようなことを言っても、アルフレッドがエイルの気持ちに気付くことはない。最終的には相談に乗る乗らないの言い合いになってしまい、シードとリデルを困らせてしまう。だが、これはこれで仲がいい証拠というもので、彼等のいい争いを珍しくシードとリデルは生暖かい視線を向けていた。
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