大好きだったあいつ


「お前はほんとに…」


"見る目がない"
って言いたいんだ、とムスッと膨れてみる。


「だけど、その割にはそんなに落ち込んでないね?
何かあった?」


さすが唯さん。


「慰めてくれたんです。
洋平さんが。」



「洋平が?」


反応を示したこうちゃんに、小さく頷く。


「たまたま会って、話しを聞いてもらったの。
そしたら、スッキリしちゃって。」


「そうか。
…それなら良かった。」


チラリと唯さんを盗み見る。


あたしと目が合い、ニコッと笑って洗い物をしに台所へ行った。


なんとなく唯さんの前で洋平さんの話しはしにくい。




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