スイーツ男子、佐藤くん
「…伊織、サチちゃんに何してんの…。」

「お、けーちゃん!チーズタルト頼むな!あと俺コーヒーで。」

扉を開けた主は佐藤くんだった。余程走って来たのか前髪が額にくっついている。そんな佐藤くんをお構いなしに、楠木くんは要望を言った。

「チーズタルトは分かったから…伊織はお皿出して。ごめんね、サチちゃん…僕が遅かったから…。」

申し訳なさそうに佐藤くんは言った。いやいや、来たのは私だから…佐藤くんは悪くない。当の本人である楠木くんはお皿を取りに戸棚へ向かった。

「い、いいよ!気にしないで。えっと…楠木くんは一体…。」

「伊織とは親同士の付き合いなんだ。よくここに来てお菓子食べたりしていくんだよね。」

「なるほど…。」

「だってけーちゃんのお菓子美味しいもんな!あ、藤山!俺は伊織でいいかんな!」

お皿を持って、楠木くん…じゃなかった、伊織くんはそう言った。

気のせいかもしれないけれど、佐藤くんの目が怖かった。
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