スイーツ男子、佐藤くん
副会長二人に連れられ、やって来たのは特別棟四階の一番奥、生徒会室。重厚なドアの中は、入ったことがないから分からないけど…。

「チョコちん入るでー?」

関西弁の副会長さんがドアをノックしてから叫ぶ。中からの返答はないものの、勝手にドアを開け、入って行った。
その様子を見ていると、後ろのネクタイの副会長さんに「行け」と口パクで命令され、私も恐る恐る入った。

「チョコちん、連れて来たで!ウチら、ちゃーんと仕事しとるんやで?」

「千代子。後は自分で頼む。俺はお茶を用意する。」

チョコ、千代子、と呼ばれた人を探し、目線を追うと、そこに居たのは艶やかな黒髪の美しい生徒会長だった。やっぱり、綺麗…。

「…ええ、お願いします。あぁ、その前に彼女に自己紹介でもなさって。」

「おお、忘れとったわ。ウチは増子真広(ましこまひろ)いいます。よぉマシュマロなんて呼ばれるんやけどな。よろしゅう〜!」

「栗山志優(くりやましゆう)だ。…ふざけてシュークリームとか呼ばれてる。まぁ、よろしくな。」

二人はそのまま、生徒会室の中にある湯茶室へと消えて行った。ここには私と生徒会長の二人だけ。思わず身体が縮こまる。

「…あら、そんな借りてきた猫のようにならなくてもいいのよ。そう、気楽に気楽に。あぁ、忘れて居たわ。私は佐藤千代子(さとうちよこ)…。チョコって呼ばれてるわ。よろしく頼むわね。」

「ふ、藤山沙智です…よろしくお願いします…。」

きらきらとした生徒会長は女の私から見てもやっぱり素敵に見えた。かっこいいなぁ…。
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