愛させろよ。
先輩はその箱を開け、中身を組み立てた。

クラリネットの縮小版みたいなものが現れた。

小さなマウスピースに小さなリードをつけると、先輩はそれを俺に持たせてくれた。

「面白いでしょう?」

「小さくて可愛いです」

先輩は俺の手から楽器を受けとると、何やら吹き始めた。

知らないメロディー……

でも何なんだ、この感じ……

どこかに連れていかれる、ような……

「相原?」

気づくと曲は終わっていて、先輩が俺の顔をのぞきこんでいた。

先輩は楽器を元のように箱におさめ、かばんにしまうと、立ち上がった。

「ほら、もう十時を回ったわ。行こう」
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