愛させろよ。
「あのね。私から右側の世界を奪ったのは、桐谷蘭なの」

「えっ……」

「赤ちゃんだった私を、彼女が落としたの」

俺はいよいよ何も言えなかった。

「……変な話、しちゃったわね。こんなこと人に言ったことなかったのに……ごめんなさい」

謝らないでください…とか何とか、俺は口の中で呟いた。

先輩は、何事もなかったかのように言った。

「忘れてくれてもいいわ。ほら、着いた」

俺たちの目の前には、白々しいほど陽気なショッピングモールがいつの間にか出現していた。

光と喧騒溢れるその場所に、先輩はさっさと入っていった。
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