愛させろよ。
俺はおずおずと聞いてみた。

「その壁を構成するのは、技量の差……ですか?」

先輩は首を振った。

「全く違うとは言い切れない。でも、経験年数的に私が上手いのは当然のことだし、先輩もみんなも、そこはわかっているわ」

「桐谷先輩は、いつからクラリネットをやってるんですか」

「私? 小四くらいからかな。エスクラはもっと前で、小一から」

「え、じゃあ、エスクラを入れたら……もう11年目ですか!」

そんなに長いと思わなかった。

「そうね。吉永先輩は確か中学からだから、まだ六年目でしょう」

「まだ」六年、か……。

一年も経ってない俺は何なんだ、と思ったが口には出さなかった。
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