愛させろよ。
不思議と痛みは感じなかった。

でも、嵐の前の静けさなのだろう。

桐谷先輩は座りこんだまま、俺を見上げていた。

「ごめんなさい……ごめんなさい……」

先輩はうわ言のように繰り返した。

「大丈夫ですよ」

俺は笑った。

「そんなわけないじゃない……」

先輩の顔は真っ白だった。
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