愛させろよ。
うまくできた、と思った。

でも、俺のをのぞきこんだ先輩は、小さく声をあげた。

「あ」

先輩は右手をのばして、その細い指で俺の楽器の一点を指した。

今にも折れそうな手首には、銀色の華奢な腕時計がひっかかっていた。

なんて白いんだ。

ていうか距離が近すぎる。

心臓の音が聞こえちまうんじゃねえか。
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