ロシアンルーレットⅣ【クライムサスペンス】
「お腹、空いてません?」

ほんの少し眉根を寄せて、まるで憐れむような苦笑を浮かべて初音が問う。益々、様子がおかしい。

が、そういえば……と。昨晩から何も食べていないことにようやく気付き、突然に激しい空腹を覚えた。


カサッとビニールの擦れる音。初音の華奢な腕が窓から中へ、ぬうっと伸びた。

その先にぶら下がるコンビニのマークがプリントされた小ぶりな買い物袋を、思わず受け取ってしまう。だって目の前にあって邪魔だったから。


「ご飯がたくさん余ったから」

照れ臭そうにぼそっと呟いた初音に、

「差し入れ?」

と那智が問えば、

「いいえ、施しです」

答えた初音は悪戯っぽく笑った。


どうも、と無骨な礼を言って、横から袋の中に手を突っ込む那智。おい、と思わず嗜めるように言うが、そんなのこのガキが聞くはずもなく。

「すいません、頂きます」

毒とかもってねぇだろーなー、などと内心では訝しみながらも、愛想笑いを浮かべて感謝の言葉を述べた。


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