鬼部長の優しい手



「初めまして。紗耶香さん。

部長と…颯真さんとお付きあいさせて
いただいてる七瀬涼穂です。
颯真さんと、それと香澄先輩から
あなたのお話は聞きました。」


「…七瀬」


私が紗耶香さんに挨拶したのが予想外だったのか部長は目を見開いて驚いた顔をした。


紗耶香さんと会ったこともない私が、こんな挨拶をするのは、なんだかおかしな気もするけど…


「…七瀬、お前さっき“私が彼女で
よかったですか?”って言ってただろ」

「き、聞こえてたんですか!?」


驚く私をよそに部長は“お前のことは、
全部知ってる。”と微笑んだ。


「…紗耶香、会いに来るのが遅くなって
悪かった。気持ちの整理ができなくて、
お前にあわせる顔もなくて。

でも、今隣にいるやつのおかげで、
救われた。」


「…え?」


部長の思わぬ告白に、思わず声をもらした。

部長すごく穏やかな顔して笑ってる。
“救われた”って、
部長を笑顔にしたのは私だって、
少しは自惚れてもいいですか?


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