鬼部長の優しい手


「わ、私が……ですか?」

「ああ、最近お前
客からの評判もいいし、どうだ?」





結婚式のプランニング
一人で任されるのは初めてだ……
今までは先輩プランナーに
ついて回って、簡単なことしか
頼まれなかったから、なんとか
やってこれてたけど…


一人で全部ってなると、

できるの?どんくさい私に?


式場の予約も、式の流れや段取りも
ブーケの発注、お客様との打ち合わせ……



全部、自分一人でやると
考えると、やっぱりすごいな不安だ。




でも、


私だって、少しでも多く
人の“幸せ”に携わりたい。
なにより、部長が任せてくれたんだもん。何があってもやり遂げたい。






「……やります、やらせてください!」



意気揚々と声を上げた私に
周りの同僚や先輩から、
おめでとう、とか
頑張れよ、とか
やったな、なんて祝福や激励の声が飛ぶ。




黛実は、そんな様子を見て
嬉しそうに笑ってくれた。

山本くんも、他の人に混じって
黛実の隣で激励の声を飛ばす。








やれるかな、なんて不安や疑問は
ひとまずどうでもいい、
自分のベストで、“やってみせる”






結婚って言う、人生で一番の
ビッグイベントを控えるカップルの
力になれるように。






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