鬼部長の優しい手
「私の事はいいですから!
部長はもっと自分の心配をしてください」
…紗耶香さんも、こんな気持ちだったのかな。
部長のことが心配で、心配でたまらなくて
仕事なんてほったらかして
きっと、一生懸命に
部長のとこに向かったんだ。
私と、いっしょ。
「部長の家はここでよかったんですよね?」
「あ、ああ」
部長はおぼつかない足取りで
私にしがみつき、マンションの前に行く
少し前に見た部長の家が、
なぜかすごく懐かしく感じる。
オートロックの扉を抜けて、
部長の部屋に入る
「お、おじゃまします…」
部長を支えながら、
おずおずと足を踏み入れた。