髪から始まる恋模様【SS集】
ドキドキしてる。
紅くなりそうなくらい。
心を鷲掴みされているみたいで
心臓の音が聞こえてないか
気になってしまう。
まさか、今日タイチ君に
カットされるなんて思わなかった。
シャンプーされるなんて思わなかった。
再会するなんて思わなかった。
予想していなかった事に
あの時に抱いていた想いまで
よみがえって溢れてしまいそうで
怖くなる。
…だって、タイチ君は。
そう思っていた時
「…はい、お疲れ様。
カリンさん、カット出来ましたよ。」
彼が後ろで鏡を開いて
「…ほらね。」と
後ろの仕上がり具合を見せてくれた。
鏡を見ると
「……凄い…素敵。」
自分でも思わず
『素敵』と呟いちゃうほど
キミコ店長の施術とはまた違う私が
そこには映っていた。