髪から始まる恋模様【SS集】
「…えっ!?ちょっ…タイチ君!?」
突然の事に思考が回らない私に
「…カリンさんが好きだ。」
タイチ君に告白された。
…す、好き!?
今…彼から『好きだ』って言われた!?
ますますワケがわからなくなる私に
「…ずっと好きだった。
アシスタントの頃から…。」
と、もう一度私に告白して
抱き締める力をさらに込めた彼は
言葉を続けた。
「…一目惚れだった。
お客さんを好きになっちゃいけない事
十分に理解していたのに
カリンさんがシャンプー指名してくれて
サラサラの髪に触れる度に
明るい笑顔で俺に喋ってくれる度に
来てくれる日が待ち遠しくて
段々惹かれていくのを感じた。」
「…タイチ君。」
「…『デビューした暁には
絶対にカットは
タイチ君を指名するから頑張ってね。』
って、言ってくれた時にはもう
完全に心を奪われたよ。」
彼の心臓の音が聞こえ
香水の香りも直に感じた。