髪から始まる恋模様【SS集】
「…それからの俺はひっしだった。
早くデビューして
カリンさんの髪をカットしたいって。
カリンさんからの指名を貰うんだって。
そして、いつか想いを伝えたいって。
……一生懸命だった。」
「……。」
「…勿論、平坦な道のりじゃなかった。
心が折れそうにもなった時もあったけど
その度にカリンさんの笑顔に救われて
思い留まって頑張れた。
…なのに、もう少しでデビューって時に
カリンさん…お店に来なくなった。」
「……。」
「…どうしたんだろう?って
気になって仕方なかった。
でも、俺には目標があるし
カリンさんも仕事忙しいのかな?
くらいにその時は思うようにしてた。
そして、やっとデビュー出来ても
カリンさん来てくれないし
ハガキ送ってもカリンさんからの
予約の電話もないし、来て貰えない。
…そんな時にカズシ店長から
カリンさんが2号店の方に行ってると
聞かされたんだ。
…ショックだった。」
切なさが混じったように彼の声が
私の心に棘を刺した。