◆Loves to You◇【短編集】


ガラッ……



“ガラガラガラ”




しばらくして

後ろのドアがゆっくり開いて、一瞬、音が外に響きわたった。



横目で誰かはすぐにわかったけど、そのまま弾き続けた。



ゆっくりゆっくり

語るみたいに、気持ちを込めて。




そして
今日はもう一曲。



モーツァルトの『きらきら星変奏曲』


コロコロ変わっていく曲調が、まるで紗英の性格みたいで、弾いててちょっと笑える。







“パチパチパチパチ…”



「春の歌…いきなり聞こえてビックリした」



「なんか急に弾きたくなったの」



「もぉー弾くなら言ってよ!!」


さっきまで拍手してたのに、フグみたいに口を膨らまして、また怒ってる。




「もう一回弾いて?」



「えっ、また?」


「今度はちゃんと聞きたいの!!
ほら…次いつ聞けるかわかんないじゃん」



「あぁー…」


その言葉が少し悲しかった。


きっと

俺がピアノを好きなのは、特技っていうのもあるけど




いつも幸せそうに聞いてくれる紗英がいるから弾きたくなるんだよねー…



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