年下オトコたちの誘惑【完】
「うん、よしよし。でも杏、これ以上引っ付いてたらカレが、ヤキモチ妬いちゃうからね?それに話もできないから、離れようか?」

悠ちゃんは、わたしの肩を優しく掴むと、ゆっくりと離した。

「で、話なんだけど…」

悠ちゃんは、スゥっと息を吸った。気軽に話せないことなんだろうか。

わたしもドキドキしながら、悠ちゃんの言葉を待っていると、意外な言葉が耳に届いた。

「俺さ、結婚しようと思って…」
「けっ…⁉︎」

思わぬ言葉に、なにも言えなくなった。悠ちゃんが、結婚…。

「そ。驚いた?」
「そ、そりゃ驚くよ…‼︎」
「ハハハ、そうだな。でも俺だってもう、36だよ?結婚くらいするでしょ」

それはそうなんだけど…。あまりにも突然すぎたから…。

てか、悠ちゃん付き合ってる人いたんだ…。気になってはいたけど、聞いてもいつも『さぁ?どうだろうね』と、教えてくれなかったから。

「まぁ、すごい悩んだんだ。だから、杏に言えずにいたんだよね」
「なや、む…?どうして…?」

結婚に踏み切れなかった…?でも、何かが悠ちゃんの考えを変えた…?

悠ちゃんは、前髪を片手でかき上げると、クスッと笑った。

「杏を一人にして、結婚はできないと思ったからね」
「えっ…」

わたし…?悩みの原因は、わたしだったの…?どうして…。
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