年下オトコたちの誘惑【完】
「うわぁ、ひでぇ振られ方してやんの」
「碧都っ」

突然聞こえた碧都の声は、どこか笑ってるようにも思えて。

「残念だったなぁ、尚樹。杏は俺のモンだから」

碧都は、わたしの腰をグイッと自分のほうへと寄せた。

「ちょ、ちょっと。わたし碧都のこと、」
「分かってる、お前が俺の気持ち受け取らねぇのは、あのことだろ?」

わたしにしか聞こえない声で言う。

「だから、決めた。絶対俺のモンにするから、イヤだと言っても」

こういう強引なとこが、わたしの中に勝手に入ってくるんだよね…。

「杏。ホントに、こんな自己チューなオトコやめて俺にしない?」
「はっ、誰が自己チューだっつーの。テメェだろ、自己チューなのはよ」

えっえっ、なに。自己チューがどっちか、もめてんのコレ。

『杏ちゃん』

戸惑ってるわたしに小声で話しかけてきたのは、眞一郎。

ここにいたくなくて、ゆっくりと眞一郎のほうへと近付く。

「ここでの仕事、聞いておきたいでしょ?」

あー、そうだった。わたしここに、飲みに来たわけじゃないんだった。

「うん、教えてくれる?」
「うん‼︎」

眞一郎の笑顔は、元気をもらえるんだよね。
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