年下オトコたちの誘惑【完】
「と、言っても。ほとんど、なにもないんだけどね。あおちゃんがお酒を用意するから、それを運ぶのとぉ。料理担当は、なおちゃんと楓くんだから、それを運ぶの」
「眞一郎は、また運ぶだけ?」
「ぶぅ‼︎運ぶのだって、立派なお仕事です‼︎」

眞一郎は、頬を膨らませて怒った。

「ごめんごめん、立派な仕事だよね」
「そうだよぉ‼︎で、杏ちゃんは忙しくなったら、ボクと一緒に運ぶの‼︎」
「忙しくなったら…?ヒマだったらどうするの…?」
「ヒマだったらぁ?ヒマだったら、寝ててもいいよ。得意でしょ?」

ちょい、待てぃ‼︎今度は、わたしが怒る番で眞一郎の肩をバシバシと叩いた。

「い、痛いよぉ‼︎杏ちゃんのバカー‼︎」
「はいはい、そこまでや。杏ちゃん、ちょい来てくれへん?」

手をパンパンと二回叩いて、入ってきたのは楓。来いって言うんだから、行かなきゃね。

「杏ちゃん、得意料理はなにかある?」
「えっ、得意料理…?」

なにが得意だろ…。そう聞かれると、パッと出てこないな…。

「料理は作れるんよね?」
「まぁ、一人暮らししてるし。それなりには、ね?」

真哉にも何度も作ってたし…。真哉、なにが好きだったっけ。

恨むくらい真哉のことキライになったはずなのに、思い出に変わってきてるのは、碧都を意識してから…?
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