年下オトコたちの誘惑【完】
「ここで待ってろ」

そう言われた場所は、玄関の中。碧都は靴を脱ぐと、大股でどこかに消えた。

チラッと見ると、結構長い廊下。壁は真っ白で、色んなところを見学したくなる。

「ほら、頭拭いてやるよ」
「それくらい自分でっ、」
「いいから、おとなしくしてろよ」

碧都が持ってきたタオルで、優しく髪の毛の水分を拭き取っていく。

それは昔、小さい頃。母親にも同じことをされたな、と思い出しズキンと胸が痛くなった。

「よし、だいたいイイか。寒いだろ?今、風呂入れてるから」
「えぇっ⁉︎そ、そんな‼︎お風呂なんて悪いから‼︎」
「風呂くらい普通だろ。眞一郎なんか、しょっちゅう風呂だけ入りに来るぞ」

眞一郎は…まぁ、そんな感じはするけども…。(杏ちゃん、ひどいよぉ‼︎by眞一郎)

「とりあえず、入れよ」
「う、うん…。お邪魔します…」

靴を揃え、長い廊下に足を踏み入れると、そのまま碧都の後を付いて歩いた。

長い廊下を歩いてると、右に一つ、左に一つ、ドアがあった。

碧都はさっき右に入ったから、きっとこっちがお風呂場なのかな。

じゃぁ、左はトイレ?そんな妄想を勝手にしながら、碧都が開けた正面のドア。

緊張しながら中に入ると、その緊張は一瞬でどこかへ消え去った。
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