年下オトコたちの誘惑【完】
「おい、どうした」
「どうした、って…。これ、なに…?」

わたしが見た光景は、ただただ広いリビング。

大きなソファーに、大きなテレビ。そして、大きな窓。

この街は都会じゃないから、キレイな夜景は見れないけど碧都の家は7階で、それでもわたしには、じゅうぶんすぎるくらいキレイに見えた。

「あー、じぃさんがくれただけ」

そう言った碧都の顔は無表情だった。

「おじぃさんとは、仲良くないの…?」
「いや、別に。ただ…」
「ただ?」
「…ただ、俺がこういうところに住んでるってだけで、近付いてくるオンナがいんだよ」

あー、そういうことか。別に碧都が稼いでなくても、おじぃさんがお金持ちだと、それだけで寄ってきちゃうんだなぁ。

なんかそういうオンナって、かわいそうだよね。

そういうとこでしか、人を好きになれないんだから。

そもそも、それって人を好きになるとは違う気もするけど。

「そっか。碧都も大変だね」
「別に。もう慣れっこだし」

そう口では言ってるけど、碧都の目はどこか寂しそうにも見えた。

「どっか適当に座っとけよ」
「あっ、うん…」

碧都は、対面になっているキッチンのほうへ歩いて行った。

さすがに濡れた服でソファーには座りたくはないから、そのままフローリングになってる床にペタンと座った。
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