あの日あの時...あの場所で
「お待たせ」
桃子の手を引いてトイレの外に出れば、案の定豪達三人が険しい顔で待っていて。
「瑠樹、何があった?」
豪は有無を言わさず伸ばしてきた両手で私を抱き上げた。
「あ、もう、豪!」
離れた桃子と繋いだ手。
しかも、豪達が睨んでるから三人とも怖がってるし。
「貴女方は何者ですか?瑠樹さんに何をしたんですか...」
もう!夏樹も威圧しないで。
「桃子達は友達になったの。何もされてないし。遅かったのは話をしてただけよ」
豪をキッと睨んだ。
「友達?」
そんなの眉を寄せてたら、シワ寄ったままになるからね。
「そうよ。友達になったの。ね?皆」
豪に縦抱きされたままで、桃子達を見た。
「そうよ。私は橋爪梅、瑠樹の友達になったの」
梅が腰に手を当てて、真っ直ぐな瞳で夏樹を睨んだ。
「ほ、ほんとです。私は永倉桃子です。瑠樹と友達のなりたくて、声をかけました」
青ざめた顔のまま必死に訴える桃子。
「私は日向楓です。可愛い瑠樹をどうしても近くで愛でたくて友達になりたかったんです」
ちょ~っと、その発言変態っぽいよ、楓。
「...嘘は..なさそうですね」
う~ん、と顎に手を当てた夏樹。
「本心かどうかなんて分かるかよ」
豪は低い声を出す。
「豪、ありがとう。でも、彼女達は大丈夫よ。私だって、私利私欲で近付いてくる人ぐらい見分けられるし」
未だ、三人を睨んでる豪の肩に触れてそう告げる。
「.....」
もう、疑いの視線は止めなさいってば。
「なぁ、豪。この子達、嘘ついてるようには見えへんで?信じてやらへん?」
大翔が豪の背中に手を当てた。
「裏切ったらどうすんだよ?瑠樹が傷付く」
「大丈夫やって。その時は俺らが全力で排除するし」
な?と夏樹を見た大翔。
「そうですね。それに瑠樹さんの目をしんじてあげたらどうですか?そんなに頑なに拒んだら瑠樹に嫌がられますよ」
夏樹の言葉を聞いて苦虫を潰した顔になった豪は私を見た。
「嫌いになるか?」
なんて不安そうに聞くから、
「うん、桃子達を認めてくれないならなるかも」
と笑っておいた。
「...分かった、好きにしろ」
肩を落とした豪は、なんだか可愛い。
「豪、彼女達が居れば女子しか入れない場所も警戒出来ますし、良いと思いますよ。ね?瑠樹さんを守ってくれますよね?」
ポンポンと豪の肩を叩いた後、夏樹は桃子達の方を見た。
「ええ。もちろんよ」
と梅。
「当たり前です」
と楓。
「は、はい。私達で出来ることがあればやります」
桃子はスカートの裾をギュッと掴んで力強く頷いた。