ヒミツの王子さま!



「だったら、なんで俺を見ないんだよ」


「……ナオ……ここ、学校だよ?」





背の伸びた俺の腕の中にすっぽりとおさまった日向。


腕の中で、日向がピクリと反応する。
俺の胸に手をついて、押しやろうとする。



だけど、そんなの無駄な抵抗。



さらに力を入れて、抱きすくめる。




「嫌なら嫌だって、そう言ってくんなきゃ、俺……こんなんだからわかんねーし」


「…………」




ギュッと抱き寄せて、蜂蜜色の髪の中にクシャリと手を滑り込ませた。
髪をかき分けて、隠れていた耳に唇を寄せる。




「頼むから。 ちゃんと言って」

「……ッ……」



喉の奥から絞り出したその声は、かすれていて。
自分ながら情けない。





夕陽に染まる、誰もいなくなった教室。



密着した体から感じる鼓動は。

限界を知らないほどに加速する。



そして、日向の小さな息遣いが聞こえた。







「……ほんとは……」



< 207 / 214 >

この作品をシェア

pagetop