ヒミツの王子さま!


だけど俺は、しっかりその肩を掴んで。




「あのさぁ!」


「……」




少し、痛くするくらい、力を入れた。
ちゃんと聞けって意味で。

思った通り固まって。
大きな瞳をさらに見開いて、俺を見上げた日向。

潤んだその中に、片眉をクイッと持ち上げた俺が映る。





「一回しか言わないから。 よく聞けよ」


「え?」







そっと耳元に唇を寄せる。



「俺は、日向しか見えてないよ」


「……え、」




はく息に声を乗せて、出来るだけ低く囁いてみる。
思ってたより掠れてしまったけど、まぁよしとしよう。

そしてそのまま、俺は日向の肩にかけていた手を離して、さらに距離をとる。


……あんぐり開いた口。
意味がわからないと、ぽかーんとした日向。



……ぷ。
なんつー顔してんだよ。

ちゃんと聞けって言ったのに、聞こえてなかったのか?



うまそうに色づいた唇。
今すぐ噛み付きたくなる衝動をおさえ、俺はニヤリと笑った。






< 209 / 214 >

この作品をシェア

pagetop