社宅アフェクション
「なんなのよ、勝彦…」


めったに見せない笑顔でイヤミを言って去った勝彦の背中を見ながら、私はつぶやいた。


双子のいとこはブランコで楽しそうに遊んでいる。


直人に告白されたことを勝彦に言ってしまいそうになった。自慢したかったとかそういうんじゃなくて、なんか、自然と口に……


勝彦、どんな反応したかな……


「真綾お姉ちゃ～ん!!おなかすいたぁ!!」
「おなかすいたよぉ!!!!」
「うわっ!!蘭！凛！」


いつの間にか、目の前には純粋な目があった。


「もう帰るぅ」
「ママのとこに行くぅ」


さっきまであんなに騒いでいたのに、今は泣きそうな顔をしている。


「そうだね。そろそろおうちに戻ろっか」
「「うんっ!!!!」」
「今日のご飯は何かなぁ」
「お魚っ!!」
「ハンバーグっ!!」
「あははっ！どっちもあったらいいね」


私はもう一度D棟を見てから、2人の手を引いてエレベーターホールに向かった。
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