臆病者の散歩道
「あ…。」
星を見上げてしばらくすると星が流れた。
それに気付き、柚が声を上げる。
「大翔、今の見た?」
「もち。」
夜空に大きく、まるで飛行機雲みたいに線を描いた。
白くハッキリとした流れ星。
「すごかったね。」
「そうだな。」
「もう一回流れないかな?」
「見てれば流れるかもな。」
「そだね。」
会話はそれだけ。
二人でまた星空を見上げた。
*
何時間経ったんだろう?
星の位置が変わって、白鳥座が完全に沈んだ頃、俺は柚を見た。
「あのさ。」
「?」
きっと俺の真面目な顔に珍しいとか思ってるんだろうな。
柚はきょとんとした顔を見せた。
「お前……」
「???」
なかなかハッキリ話せない。
カンタンに言えるくらいなら、もうとっくに言ってる。
俺はやっぱり臆病者だ…。
「やっぱりいい。」
俺は、結局言えずにまた星空を見上げた。
(情けない…。)